11月のインスタライブ 後記
みなさんこんにちは。
今日は珍しくお知らせではないです。笑
先日のインスタライブ はおしゃべりライブだったので、
アーカイブの苦手な私は、内容をブログに残すことにしました。
時々インスタライブ のレッスンじゃなくて、みなさんとおしゃべりしたいなあと思うことがあって、2ヶ月に1度くらいですかね、Instagramで質問を募ってインスタライブ でお答えするというのをやっています。
今回のライブで来た質問、全部には答えられなかったのですが、ライブが見られなかった方や、内容を振り返りたい方のために残しますね。
①刺繍でABCを買いましたが、ミシンは必要ですか?手縫いでも本に出てくる作品を作れますか?
刺繍でABCに出てくる作品は平面の刺繍作品と立体の作品があって、平面のものはミシンの必要がありません。立体の作品については、綿を詰めるものが多いのと、手縫いだと強度が心配なので、基本的にはミシンをご使用いただくことをお勧めします。ちなみに、私が10年くらい使っているBERNINAという外国製のミシンは、元々中古で2万円くらいでした。ミシンはピンキリですが、この本に出てくる作品はそんなにいいミシンでなくても作れると思います。買いたいけど、どれを選べばいいかわからない〜という方は、新宿オカダヤのミシンコーナーのような、ミシン専門の方がいるお店でアドバイスしてもらうといいと思います。
②刺繍作家の1日と、忙しい日の乗り切り方
大体朝7〜8時に起きてパンやヨーグルトなどの朝食、昼まで仕事をしたら昼食、それから夕食の19時〜20時まで仕事をしています。忙しい時は夕食のあとも仕事をしています。合間にメールの返信をしたり、週に2−3回は近くのコーヒー屋さんで自分がやるべきことのやりたいことの整理、本を読んだりなど。制作中は大体TBSラジオを聴いています。忙しい時はとにかくやる事をリストアップしてどんどん消していきます。
③毎日のタスクの管理方法
②の答えと少し被りますが、とにかくやる事を書き出して、できたものから消して行ってます。無印のタスク管理用のチェックシートに長期の締め切りのものを書いて、日々のタスクは小さなふせんに書きます。手帳に書いても開くのを忘れてしまったりするほうなので、毎日使うMacのモニターに見えるようにぺたぺた貼って、終わったら剥がして捨てる、の繰り返しです。
④将来のこととか展望って考えますか?
この質問にはすごく語ってしまいました、、この質問者さんは、お子さんもいないので将来について悩み中です、とのことでした。
私は元々、子供時代から高校時代くらいまで、いつもどこか孤独を感じていました。友達や家族はいたけれど、どこにも属していないような気持ちで毎日を過ごしていました。学校や放課後に楽しく時間を過ごしていても、家に帰るとなんだか自分には何もない、みたいなことをいつも考えているような子でした。
高3の頃、進路について真面目に考えた時、ずっと本の中で触れていた海外での暮らしをしてみたいと、当時の担任の先生に相談しました。その担任の先生は、たまたま留学経験のある英語の先生で、英語だけを学びに行くのではなく、英語をツールとして何かを学ぶほうがいいよ、と教えてくれたので、その次に興味があることってなんだろう?と思い、ファッションや布のデザインに興味があったので、家族旅行で行ったことのあるイギリスなら、美大に留学してもいいかもしれないと思い、19歳で単身イギリス留学をすることに決めました。
イギリスに留学をしてからは、最初は英語で苦労をしましたが、そのうち慣れてくると、布の世界、アートの世界、と興味がどんどん広がっていき、同級生とも自分が本当に好きなことを通じて色んな会話をしたり、作品を見せあったりして、すごく充実した毎日が送れるようになりました。仲間が増えていって、作品作りにも没頭するようになり、留学して日本を離れたけれど、ホームシックになることもなく、ずっと心の中にあった孤独感もだんだん薄れてきました。
そんな楽しい学校生活でしたが、卒業し、2年の就業VISAをもらった頃、フリーのテキスタイルデザインの仕事をいくつか持ったりデザイナーさんのアシスタントをしたりしていたのですが、今まで学校でみんなと一緒の場所で制作をしていたのに、急に家で一人で制作をする日々に、なんだか行き詰まってしまいました。事務所から請け負うデザインの仕事は、作るのは楽しかったのですが、どこの誰にデザインを使ってもらっているかなどは教えてもらえなかったので、どこに向かっているのかがわかりづらく、やりがいや手応えを感じ辛かったように思います。
2年のVISAが切れる頃、やりたいことを持ってやってきたはずのイギリス生活も、何だかこのままこれが続くのか、と思ったらずっとイギリスにいたいとも思えなくなってきて、日本に帰ることを決意しました。この頃は20代後半で、またイギリスにきたければいつでも戻って来れるから、とりあえず区切りをつけようという気持ちでした。
日本に帰国して、友達が声をかけてくれて友達のブランドに刺繍デザインの提供をしたり、お店で作品を置かせてもらったりしていた頃、そろそろ一度会社で働いたりしてみたいなと漠然と思うようになりました。そんな時に東日本大震災が起きて、一度全部が真っ白になってしまったのでした。
毎日余震が続き、なんとなく将来についても不安に思っていた頃、このまま毎日を過ごしていても不安になるだけだし、会社に就職することは一旦置いといて、一番やってみたいことでもやろうかな、、と思いつきで作品を恵比寿のセレクトショップに持っていって、展示をさせてもらえないかと相談したところ、ひとつ白い壁があるから、そこを自由に使ってもいいよ、と言ってもらえたので、展示をすることになりました。
そこからは本当に運が良く、その展示に来てくださったギャラリーの方やお店の方から、うちでも何かやりませんか?とお声がけをいただくようになり、いつの間にか、作家としてやっていけるようになりました。
日本に帰国してから、震災も含め色んな変化がありましたが、ここまで楽しくやって来れたのは、刺繍という自分の好きなことを通して、応援してくださる心優しいお店やギャラリーの方々、そして自分の作品を楽しんでくださるお客様の皆さんにお会いできたからだと思います。自分の作ったものや、刺繍のレッスンを通じて、誰かの生活を少しでも豊かにしたり、楽しくしたり、そんな循環ができたことが、今の自分のやりがいや充実感につながっているなと思いました。社会に出て、仲間に出会い、人の役に立っていることがわかることで、子供の頃から感じていた孤独感も、感じないようになっていったのでした。
そんなわけで、私の将来の展望としては、いつか刺繍サロンのような場所を開いて、みなさんが忙しい日々の中で、ちょっとそれぞれの家や仕事での役割などを忘れて、針を動かす優しくて豊かな時間を持てるような、そんな居場所を作れたらいいなあと思っています。私が刺繍を通じて、映画や音楽、アートなど、楽しめるものに出会ったり、たくさんの作家さんやお店やギャラリーの方など、仲間と呼べるような人に出会って来れたので、次は私が刺繍とみなさんとの橋渡しになれたらいいなあと思ったからです。
展望の話が長くなりましたが、私がライブを通じて言いたかったのは、人と自分を比べてしまったり、自分を追い込んでしまうような夢ではなくて、ささやかでも、その夢があるから頑張ろうと思えるような、自分を励ましてくれるような夢や展望が見つかったらいいですよね、ということです。例えば、子供が大きくなったら一緒に海外のマーケットを回る、とか、犬を飼って緑の見えるところで暮らす、とかそんな仕事とは関係ないような夢でもいいのかなと思います。
みなさんの毎日が、好きなことやものに恵まれて、豊かでありますように。これからもそんな気持ちを込めて作品を作ったり、インスタライブ や刺繍レッスンをして行けたらと思います。
*このお話をしようと思ったきっかけになったのは、佐渡島庸平さんという編集者の方の、WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜(News Picks Book)という本を読んだことからでした。興味のある方はぜひこちらも読んでみてください。
Kanae
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